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2009年01月

 
 
 
 

■2009年01月31日(Sat):バスジャク

「信じている、というより、信頼しているんだ」

三崎亜記の『バスジャック 』を読む。不思議な設定の短編7つの小説。「バスジャック」「動物園」「送りの夏」が印象的。満足度★★★★☆。

三崎亜記と言えば『となり町戦争』の著者。公務員的な設定を小説に盛り込む手法は今回も似ている。前作が長編でインパクト大だっただけに、今回は短編ということもあるが物足りなさがあった。この本を読むまで、著者は名前からして女性かと思っていた。思い込みとは恐ろしい・・。

 


■2009年01月25日(Sun):海辺のカフカ

「誰も助けてくれない。自分の力でやっていくしかない。はぐれたカラスと同じ。だから自分のカフカという名前をつけた。カフカというのはチェコ語でカラスのこと。」

村上春樹の『海辺のカフカ』を読み終える。結構長かった。満足度★★★★☆。世界中でベストセラーとなったという有名な本・・らしい。四国の海辺。15歳の田村カフカとナカタさんの話が序々に交錯する。後半は、「入り口の石」がキーワード。しかし、最後まで「?」というまま話が終わってしまった。とくに「カラスと呼ばれる少年」は最後までよくわからなかった。「15歳少年の心の葛藤」がテーマ?

「文学作品」と言われるものは、ある程度素養がないと理解できないものなのか。おこちゃまには難しいのかな。というかんじで、どうもスッキリしない後味だ。春樹にはまることはなさそうだ、というのはわかった。

ノルウェーの森』は衝撃を受けたような記憶があるが・・。大学のときに読んだ『ねじまき鳥クロニクル』も「何が面白いのやら」という苦々しい記憶がある。「ハルキの凄さ」について、誰か解説してほしい。という訳で、これからネット書評で皆さんに御教授してもらおう。。

   

 


■2009年01月18日(Sat):マダム小林の優雅な生活

小林聡美の『マダム小林の優雅な生活 』を読み終えた。満足度★★★★☆。「こりゃええ。」女優小林聡美の爆笑日常エッセイ。語り口調が面白いし、夫三谷幸喜の話も面白い。気楽に読める。

 


■2009年01月17日(Sat):DIVE!!

森絵都の『DIVE!!』を読み終える。兄貴の嫁さんからかりた本。飛び込みのスポ根青春小説。知季、要一、飛沫。オリンピックを目指す。主役3選手の最終ダイブは、SSスペシャル'99、スワンダイブ、四回半。運命のコワラを得るのは!という話。満足度★★★★★。スワンダイブの場面で、一番感動した。

いやー、前評判どおり面白かった。森絵都の代表作の一つだね、こりゃー。ストーリーから森絵都の執念みたいな熱気が伝わってくる。何かの苦しみの上に生み出された作品なのか、これは。「飛び込み」という競技を文章だけで、ここまで面白く表現するとは見事だ。実際の競技を見るよりも面白かったりして。森絵都の最新作は『ラン』だし、今は思春期小説⇒スポーツ小説という流れなのかな。この『DIVE!!』で森絵都小説はあらかた読んだ。次の森絵都新作は何をテーマにするのか。今から楽しみだ。

  

 


■2009年01月12日(Mon):チェ 28歳の革命

「祖国か、死か!」

MOVIX京都で『チェ 28歳の革命』を観る。チェ・ゲバラ二部作の前半。国連演説とキューバ革命成功まで。満足度★★★★☆。硬派な内容の映画なのに、結構たくさん客が入っていた。ゲリラ戦争や革命を見て、今の日本はつくづく平和だなぁと実感した。

「派遣切り」に代表される若者に冷たい日本社会の御時世で、小林多喜二 の『蟹工船』もはやっているようだし、このチェ・ゲバラといい2009年は「革命ブーム」が起こるのだろうか。世代戦争勃発の予感アメリカではオバマの「Change!」。日本では「革命ブーム」。日本の若者よ、今こそ立ち上がれ!

後半は、1月末に公開。この後半の『39歳別れの手紙』とともに宮崎あおい主演の『少年メリケンサック』の前売り券も購入。どちらも楽しみだ。

 


■2009年01月10日(Sat):ジュゴンの見える丘

「生きろ!」

京都シネマで『大丈夫であるように』を観る。「歩いても歩いても」の是枝裕和監督によるCoccoのドキュメンタリー映画。これは見逃す訳にはいかない。

・予告『大丈夫であるように』(YouTube)

CoccoのMCで感動するところ多数。さらに、この映画の主題でもある「ジュゴンの見える丘」に惚れた。⇒歌のみ(YouTube)

「あっちゃん」ことCoccoは沖縄人なんやなぁ。Coccoの故郷を強く愛する気持ちにふれて、自分は生まれ故郷の京都よりも、大学生時代=青春時代を過ごした徳島に思いを馳せた。徳島のために何かしたい、という気持ちは今でも持っている。みたいなことを思いながら映画を観た。「ジュゴンの見える丘」の歌もこの映画もオススメです。

 


■2009年01月09日(Fri):仕事後ラン

来週に駅伝で3.1kmを走ることになっている。区間5区中3区。この駅伝に向けてトレーニングということで、金曜日に仕事の後、会社の人3人と研究所〜天神川〜桂川沿いを往復7kmほど、約40分くらい走る。

折り返しまでは、話ながらゆっくりペース、後半はややペースアップで走った。昨年の市民マラソンの10kmは、それまで運動不足のブランクがありすぎて、バテバテだったが、それから何度か走っていると、走る毎に段々楽になってきた。ランニングは上達度合いがよく実感できるから、楽しくなってくるなぁ。

 


■2009年01月03日(Sat):ラン

「自分の力でレーンを越えてみる」

森絵都の『ラン』を読む。直木賞受賞後第一作となる書き下ろし作品。463ページと、今まで読んだ森絵都作品の中で一番長い。「ラン」というタイトルのとおり、「走る」話だ。満足度★★★★☆。

はじめの登場人物は、近所の自転車屋の紺野さん。猫のこよみ。ロードバイクのモナミ一号。ここから物語がはじまる。そして、主人公環(たまき)の家族パパ、ママ、修くん。奈々美おばさん。彼らと会うために、「レーン越え」をおこなう。これが主人公が走る動機だ。

次に主人公はマラソンチーム「イージーランナーズ」に入り、マラソン仲間と出会う。イージーランナーズの皆さんは、元天才ランナーのドコロさん。大島くん。真知さん。清花さん。小枝さん。ハタくん。藤見さん。「あなたは何故走るのですか?」。それぞれの「走る」物語が語られる。そして42.195kmのフルマラソンに向けて、話は展開する。

「ラン=人生」。それぞれが、それぞれの事情を抱え、それぞれの動機で、それぞれのスピードで、それぞれの目標に向かい走る。そう、「走る」とは「人生を生きる」ことでもあるのだ。そして、人は死ぬまで走り続ける。そして死後の世界とは?死んだらどうなるの?

森絵都独特の「死後の世界」についても、面白いルールを含めた場面設定がされる。昨年に読んで森絵都にはまるきっかけとなった『カラフル』を彷彿させる話だ。キーワードは「溶ける」。

自分事だが、昨年より、会社の人にさそわれてランニングをはじめた。市民マラソン大会に参加して、10年ぶりくらいに10kmを走った。新たに幕が明けた2009年でも、1月に駅伝で3km、2月にはハーフマラソンに走ることが決まっている。このような状況で、偶然なのか、森絵都のランニング小説を読むのは、自分が走るイメージを持ちながら読めて、より面白かった。

「私は走りつづける。」

 

 
 
 
 
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